手探り

手探り「きっと会うことって無いと思うんだ」
「そうだね。だからこそ、2人きりで居たいね」
「それなら家の中で過ごそうか?」

それは小さな約束でした。
彼と私は思い合っていましたし、気持ちだって分かり合っていたのですが
合うのは1回だと決めていたのです。
諸事情が色々とあってのことでしたので、納得していましたし
1回でも2人きりで過ごす時間が作れるのであればそれで十分に幸せだと思えていたのです。

予定を立てるのもワクワクすることではありましたが
「1回」という響きが時々悲しくもありました。
けれど、それを知っての関係でしたし「1日が一生」という位の気持ちでその日を迎えようと思いました。

感情彼との休日は、どんな瞬間でも愛しくて温かなものでした。
「もう、今後は無いんだ」と思うと切なくもなったのですが
私はその時、今のことだけを考えるように努めていました。

2人がバイバイと手を振ってから、電話でのやり取りなどはありましたが
会う事はありませんでした。
約束でしたので仕方ありません。
好きな気持ちを持ち合っているのに、もう触れ合うことが出来ない。
それでも私たちは恋愛関係と呼び合っていました。

そんな関係は暫く続いたのですが、やはり実際に会えない辛さというものに打ち勝つことは出来ませんでした。